関連項目:

レイニー止め

れいにーどめ 2012/1/10更新  

 レイニー止めとは、ストーリーがファンを不安にさせるような展開で中断し、続きが出るまで長期にわたりファンをやきもきさせる状態を指す用語。

 今野緒雪作のライトノベル「マリア様がみてる」(マリみて)のファン用語として発生したものだが、広く定着したとまではいえないもののそれ以外の作品で使用される例がみられる。

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表紙からしてやたら陰鬱
 
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えがったえがった
 「マリア様がみてる」は、いわゆる戦前の「エス」に類する百合を扱った、学園生活を通して上級生と下級生の「姉妹」としての絆が主に描かれる少女向けライトノベル。 作中では生徒会に属する3組の「姉妹」が主たる登場人物となって物語が展開していく。

 この作品の第10巻「レイニーブルー」では、それまで波乱がありながらも順調であった3組の姉妹の関係が一転、不協和音が聞こえるようになるというストーリーになっている。
 もちろん作品的には当然仲直りをするはずなわけで、実際この巻の中で2組までは仲直りし、より絆を深めるというオチが描かれている。

ところが・・・

  ところが、主人公とその「姉」の関係のみ巻末までに解決に至らず、10巻は両者の関係性が最悪になったところでラストを迎え、続刊へともちこされることになった。 この話の引きにファンはショックを受け、次巻「パラソルを指して」の発売まで長期にわたりやきもきさせられることになった。
 そして次巻が発売すると、ファンたちは貯めに貯めまくった不安感を一気に開放し、強く満足したのである。

大事なのは「おあずけ」

 「レイニー止め」という言葉は、この長期間の鬱積した感情を一気に解放するというカタルシスを指してファンの間で生み出された。
 この背景には、主人公だけ続刊しかもどん底という引きの上手さおよび大団円との落差も強く影響している。 しかしそれ以上に大きかったのは、それまで「マリみて」はストーリーが連続する場合は上巻の翌月に下巻が発売されていたのに対し、「レイニーブルー」から「パラソルをさして」まではストーリーが連続しているのに3ヶ月も開いたことが挙げられる。 この「今月発売されねえのかよ」×2という「おあずけ」感がもっとも強く影響したのではないかと思われる。

 そのため、この後「レイニー止め」を味わった当時からの読者たちがこの作品を「布教」するときは、敢えて「レイニーブルー」までしか買わせないor貸さないでおき、しばらく「おあずけ」をさせるという行為をした者が多く出たとされる。 というか管理人も「通過儀礼」としてやられた。 「レイニー止めを体験しなければ『マリみて』を本当に味わったことにはならない」とも言われた。 すごくマゾヒストです。

その後・・・

 その後、なぜ基本的には当時からの読者の体験からでないと生まれないこの言葉が一般化したのかは不明だが、「マリみて」は少女向けながら多くの男性読者をも獲得したということが理由のひとつかもしれない。

 

 


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