関連項目:

チョコパイ

ちょこぱい 2012/2/28更新  

 チョコパイとは、現在北朝鮮でホットになっているお菓子。

 ただのお菓子ながら北朝鮮では金銭に変わる価値を持ち、外交問題になりかねない存在となっている。


韓国のチョコパイ。
SAMJIN社は、現在では
月200万個ものチョコパイを
開城まで運んでいるという

 そもそもこのお菓子は「チョコパイ」と呼ばれているが、チョコの外皮の中はクリームを包んだ餅をチョコでコーティングしたもので、「パイ」ではない。 しかし韓国では長年にわたって根強い人気があり、例えば「軍隊でこっそり食べて一番おいしかった食べ物」というアンケートでは2009年までチョコパイが「不動の1位」であった(2chスレ)。


北朝鮮内の韓国企業工場で流行

 韓国のお菓子ながら北朝鮮で流行りだしたのは、北朝鮮の開城工業団地での「おやつ」がきっかけ。 ここは韓国と北朝鮮の共同事業として、38度線から数キロメートル北側の北朝鮮領土内に入った場所に韓国企業の工場団地を作ったもので、韓国企業の工場で北朝鮮の労働者が勤務している場所。

 この工場団地内に進出したシンウォンという韓国のアパレル企業が、北朝鮮労働者の労働意欲を高める目的で「おやつ」として提供したところ、労働者たちはこのような甘いお菓子など食べたことがなかったこともあって大人気となり、生産性も上がったという。
 そのためすぐに他の進出企業でも導入するようになり、現在では開城で働く約5万人の労働者のために一日あたり20万個ものチョコパイが韓国から開城まで毎日輸送されているという。

 工業団地内に広まった結果、チョコパイ支給が少ない工場では労働者がサボタージュをするとか、たまたま輸送が滞ったときにストライキをおこすとか(2chスレ)、工場によっては「おやつ」ではなく「成果給」として仕事量に応じて支給数を決めるとか、チョコパイは単なるお菓子以上の存在にまでなった。

通貨の代わりにまで

 さらに、労働者が家族のために持ち帰ったことやチョコパイが日持ちすることもあって工場団地外にも広まり、売りさばいて現金化することまでできるという(2chスレ)。 闇市に持って行くとチョコパイ一個でコメ1kgとの交換すらできるとされ、さながら金本位制ならぬチョコパイ本位制という状態になっているらしい。 さらに、南の開城とはまったく逆の、北朝鮮と中国の国境の街で交易拠点となっている中国・新義州市にも北朝鮮向けのチョコパイ闇市が成立しているという(2chスレ)。

 こうしたことは「韓国という豊かさの象徴」が労働者に広まっているということになり北朝鮮政府にとっては看過できない状況であるため、北朝鮮政府が労働者代表に指示してチョコパイではなく現金支給に変えるよう求めるといったことも起きている(2chスレ)。 一方で、韓国の脱北者団体はこれを逆手にとって、普段韓国から体制批判のメッセージを詰めて北朝鮮へ向けて飛ばしている風船の中にチョコパイを詰めたりもしている(2chスレ)。
 チョコパイのせいで南北に微妙な空気が生まれつつあるが、韓国にとっては格安な労働源として、北朝鮮にとっては外貨獲得手段としてそれぞれ貴重であり、微妙な状態のままどちらも強くは出られないようである。

 たかがチョコパイで・・・とは思うけれども、日本も「ギブミーチョコレート」と言っていた時代があったわけで、貧しい生活をしている人々にはチョコというのはそうとうに衝撃的な存在ということなのだろうか・・・

 


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