島根にパソコンなんてあるわけないじゃん

しまねにぱそこんなんてあるわけないじゃん 2011/11/18更新

 島根にパソコンなんてあるわけないじゃんとは、映画版「デジモン」(「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」)におけるセリフ。

 主人公たちのうちの島根の祖母宅にいた兄弟に、パソコンからインターネットへ接続する必要ができたシーンで、祖母の家はもちろん周囲の家を何軒訪ねてもネットにつながるパソコンが見つからず、兄が「やっぱ島根にパソコンなんてあるわけないじゃん!」と嘆くことになる。

 冗談みたいな話でインパクトがあり、また島根には政治家ですら「島根には人がいるのか」などと発言してしまうようイメージがあるためか、島根を表現するネタワードのひとつとなっている。 グーグルでも「島根n」と入力すると上位に「島根にパソコンなんてあるわけない」が、「島根に」まで入力すると1位にこれが表示されてしまう。

 本当に島根にはパソコンがなかったらしい

 今からすればネタとしか思えないこのセリフだが、どうやらあながち嘘でもないらしい。

 この映画内の時間設定は映画公開と同じ2000年3月(注1)。
 2000年の調査ではインターネット世帯普及率は全国的にもわずか19.1%、1999年はさらに低く11.0%しかない(総務省統計局・平成14年版通信白書)。 そのうえ、東京や大阪などの大都市圏に比較して地方部はインターネット普及のペースが遅く、例えば2001年におけるインターネット人口普及率では島根県は全国平均に比して8割弱のポイントにとどまっている(注2)(総務省統計局・平成13年社会基本調査)。

 したがって、映画公開当時は島根県全体の世帯普及率はおそらく10%台前半くらいではないかと思われる。
 さらに、映画に登場した場所は中山間地域であり、松江のような都市と比較するとさらに低いと考えられる。 人口比も考えれば、そのような地域は5%を下回る可能性もあるのではないだろうか。
 そういうわけで、この当時は本当に島根にはほとんどパソコンがなく、まして彼らがいた地域には「パソコンなんてあるわけないじゃん!」という状況だったと思われる。 まったく嘘みたいな話だが・・・

 なお、島根県の名誉のために付記すれば、2001年時点の人口普及率において島根県を下回る県が9県、人口普及率3割台の「同レベル」な県は17県もある。 つまり、この当時は全国の「田舎」にはどこにいってもパソコンがなかったようである・・・

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注1
 刺身の製造日時に記載されているらしい(wikipediaより)。

注2
 社会基本調査は5年おきの調査のため直近のデータを使用。
 全国平均は46.4%、島根県平均は36.5%。 なお、この調査には企業・事業所で使用する場合も含まれており、世帯普及率ではもっと低いと思われる。 通信白書(前掲平14)によればこの年の人口普及率が44%(全国平均、注2-1)なのに対し世帯普及率は34%(全国平均)となっている。 

注2-1
 社会基本調査と通信白書で人口普及率の数値が大きく異なっているのは、調査対象年齢が異なっているためと考えられる。 通信白書については11年・12年と13年以降でもそれぞれ異なっている。
 ・ 平成11年情報通信白書の調査・・・15歳~69歳
 ・ 平成12年情報通信白書の調査・・・15歳~79歳
 ・ 平成13年情報通信白書の調査・・・ 6歳以上
 ・ 平成13年社会基本調査の調査・・・10歳以上

 


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