五毛党

ごもうとう / うーまおだん 2011/11/24更新

 五毛党とは、中国共産党のネット工作員に対する中国ネットユーザーによる蔑称。

 マスコミをはじめとした情報統制が厳しいことで知られる中国では、インターネットにおいても検閲や金盾など情報統制を実施している。 この施策のひとつとして指摘されているのが、世論を誘導する工作員の存在である。 工作員は中央政府や地方政府に雇われ、政府批判がおきる場合にネット上で政府に有利な書き込みを大量に行うことで世論誘導を行なっているとされる。 

中国の5角紙幣(Wikipedia中国語版より)
 「五毛党」の名前は、工作員の1回あたりの書き込みの報酬が5毛であるとされることから、ネットユーザー側からの蔑称として呼ばれるようになったもの。 「毛」は元の補助通貨で10分の一の価値の「角」の別の呼び方で、5毛は約6円。

 産経新聞電子版によれば、この工作員の存在と名称が明らかになったのは2006年。 「何者か」がネットにうpした共産党の内部報告書において、湖南省長沙市が「ネット評論員」を基本月給600元、さらに書き込み一件ごとに5角を報酬として払う、と記載されていたらしい。 
 中国では報道に比べインターネットの規制は比較的ゆるいとされているが、それでも各種の規制が行われており、中国ネットユーザーにはこれらの規制に対する批判も多い。 そこで、以前より噂されていた工作員の存在を裏付ける物的証拠が明らかになったことが大きな話題となり、蔑称が定着していったようである。 (参考文献:産経新聞電子版・矢板明夫の中国ネットウォッチ「高速鉄道事故 政府の情報操作部隊、五毛党の正体」

 中国ネットユーザーの不満はかなり鬱積しているようで、2010年4月には地方政府幹部に五毛紙幣が投げつけられるという事件が起きている(レコードチャイナ)。 また、2011年の中国高速鉄道衝突事故においては微博が政府批判で炎上したのに対し、政府対応を賞賛したり被害者側を貶める書き込みが多くなされ、五毛党が大規模に活動したとして日本のマスメディアにも多く取り上げられている。

 

 


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