隔駅停車
かくえきていしゃ ジャンル:鉄道 2013/09/24更新
隔駅停車とは、ひと駅ごとに停車する優等列車の蔑称。 特に、東急東横線の急行を指す。
「各駅停車」にひっかけて「ほとんど止まってばっかりじゃないか」と揶揄する意がこめられている。
東横線の急行は、下図とおり渋谷から横浜までの全区間で急行列車の通過駅は10駅、途中の停車駅は9駅と約半分の駅に停車する。 これら通過駅のうち4駅が横浜~菊名の1区間に集まっているため、渋谷~菊名では通過駅が6駅、停車駅が9駅と停車駅がかなり多くなる(しかもうち3駅連続停車が1回、2駅連続停車が1回)。 そのため乗車すると停車してばかりで非常に遅いという印象がある。
現在こそ東横線には特急・通勤特急が走っているが、2001年春までは東横線の優等列車は急行だけで、利用者はもれなく急行を利用せねばならなかった。 そのため特に長い距離を乗車する利用者にその遅さが不評で、「隔駅停車」の蔑称がつけられたのである。
現在の東横線停車駅
横反東白妙菊大綱日元武新多田自都学祐中代渋
白 蓮 倉 住小丸摩調由立芸天目官
浜町楽楽寺名山島吉吉杉子川布丘大大寺黒山谷
●━━━━●━━━━●━━━●━━━━━● 特急
●━━━━●━●●━●━●●●━●━●━● 急行
2001年3月までの東横線停車駅
桜高横反東白妙菊大綱日元武新多田自都学祐中代渋
木島 白 蓮 倉
住小丸摩調由立芸天目官
町町浜町楽楽寺名山島吉吉杉子川布丘大大寺黒山谷
●━●━━━━●━●●━●━◯●●━●━●━● 急行
◯ … 2000年8月に追加
このような停車駅になったのは、沿線にまんべんなく利用者の多い駅があるためにそれぞれに停車して利便を図る目的があることに加え、かつては渋谷・横浜間を移動する場合は遅い急行といえども東横線を利用するのが最も早いため競争相手がいなかったためである。
しかし2001年12月からJR東日本が湘南新宿ラインの運行を開始し、東横線に競争相手が出現。 その前年夏に急行が新たに多摩川駅にも停車するようになった(※注1)ことで苦情が多く寄せられたとされることもあって、2001年3月からは東横線には特急・通勤特急も運行されるようになっている。
とはいえ特急と急行は交互に運転され、急行が特急に追い抜かれることはない。 そのため現在でも急行が終点まで最先着ということがよくあり、そういう時はすごく残念な感がある。
※注1
東急目蒲線が目黒~多摩川(~武蔵小杉)の目黒線と多摩川~蒲田の多摩川線に分割された結果、多摩川~蒲田間の利用者が田園調布駅で東横線の急行に乗り換ることができなくなったため、多摩川駅にも急行を停車させて乗り換えの便を確保した。
おまけ
隔駅停車より酷い例があったりする。
① JR九州の特急きりしま81号・82号(鹿児島中央~国分)は、停車駅が6駅なのに対して通過駅が2駅しかない。 しかもひと駅は普通列車も約半分が通過する駅である。 有料特急である。
② 阪神電鉄三宮駅を土曜・休日の7:34などに発車する「特急」は、始発の三宮駅から終着の東須磨駅まで全ての駅に停車する(途中8駅)。 実質的には車庫から東須磨駅まで車両を回送するついでに、三宮から人を乗せて走ろうという感じ。 「特急」は三宮より西は各駅に停車する設定であることに加え(別途通過運転する「直通特急」などがある)、使用する車両が優等列車用のもので「普通」という表示ができないためらしい。
← 東板西高大新高西元三 →
姫 須 長 開神元 大
路 磨宿代田開地戸町町宮 阪
━●━●━●━●●━●●━ 直通特急(一部は通過駅にも停車)
━●━●●●●●●━●● S特急
●●●●●●●●●●●●━ 特急
③ かつて阪神電車本戦にあった「準急」は18駅停車するのに対して6駅しか通過しなかった。 優等列車というよりは各駅停車を補完する性格だったため。
関連項目: